カードの物語

トランプ カードの歴史や絵柄・マークの意味 などを詳しく解説!

はじめに

 はカード遊びをするときに用いる道具ですが、実はトランプ という呼び方は日本だけで使われており、英語圏の国ではプレイングカードと呼ばれています。英語圏で元はトランプ という言葉自体は「切り札」という意味で使われていたのですが、カードそのものの名前だと日本人が勘違いしたため、日本ではトランプ と呼ばれるようになりました。

トランプの発祥

実はトランプ の発祥ははっきりせず、起源はエジプトといわれていますが中国という説もあります。明確な情報として残っているのは14世紀に欧州各地でその記録が見られたということだけです。

トランプの歴史

それではトランプの歴史 を各国ごとに見てみましょう。

イタリアとスペイン

カードが用いられた記録が最初にみられた国はイタリアともスペインであるともいわれています。またカードの構成やデザインについてはアラブのカードが受け継がれたともいわれています。

日本

日本には16世紀にポルトガルより伝来し、当初は48枚のカードから成るものでした。カルタ(加留多 )の語源はポルトガルで、このポルトガルより伝来した「西洋カルタ」を日本で作り直し「天正かるた」と呼んでいました。明治時代以降、カードで遊んでいた外国人が「トランプ !」と叫んだため、以後トランプ という呼び方で定着しました。1953年に任天堂から現在のプラスチックを使用したものが発売されました。一時は賭博防止のためかトランプ や花札などに対するトランプ 類税という税がありましたが1989年の消費税の導入にともない廃止されました。

中国

諸説ありますが、中国など東方で発生したものがイスラム圏を経てヨーロッパに伝えられた、という説があります。

フランス

15世紀の後半にフランスで、現在日本で見る形のマークが生まれました。フランス語 のカードは「1」から始まります。フランスでは絵札に実在もしくは伝説の人物を当てはめており、これが現在のフランスのカードのデザインに継承されています。

アメリカ

フランスタイプのカードがまずイギリスに伝わり、そこでアレンジされてイギリスタイプが出来上がりました。そしてそのカードがアメリカなどといったイギリスの植民地で普及しました。

イギリス

フランスタイプのカードが16世紀のイギリスに伝わりましたが、フランスではカードのマークごとに特定の英雄などが割り当てられていて人物のデザインもひとりひとり違っていたものがイギリスのカードでは特定のモデルはいなくなりました。なお17世紀のイギリスでは賭博の流行を抑えたり戦争のための費用を調達するためトランプに課税することになりました。最初は納税の証としてスペードのエースに小さいスタンプが押されましたが、1765年からは偽造防止のために大きくて複雑な模様が描かれたスペードのエースを税務署で印刷しこれを納税の証とするようになりました。1862年には税金が引き下げられスペードのエースの模様は自由になりましたが、現在でも名残りとしてスペードのエースだけが大きく派手にデザインされていることが多いです。

トランプの絵柄について

トランプにはキング・クイーン・ジャック と呼ばれる人物の絵柄が印刷されています。どの絵柄も特定の人物がモデルとなっているのですが、それぞれのトランプの種類 と意味 を見ていきましょう。

スペードのキング

モデルとなったのは羊飼いから身をおこし、エルサレムに都を置いて全イスラエルの王となったダビデ王(紀元前1040-紀元前961年)です。

スペードのクイーン

モデルとなったのはギリシャ神話のトリトンの娘パラスです。もしくは友人であるパラス・アテナであるとも言われています。ローマ神話では知恵の女神ミネルヴァです。

スペードのジャック

モデルとなったのは中世フランスのシャルルマーニュ伝説の武勲詩に登場する伝説上の英雄オジェ・ル・ダノワです。

クラブのキング

モデルとなったのは古代ギリシャの王朝であるアルゲアデス朝のマケドニア王、エジプトのファラオを兼ねた英雄アレクサンドロス大王(紀元前356年-323年)です。

クローバーのクイーン

モデルとなったのはフランス・ヴァロワ朝国王シャルル7世の妻であるマリー・ダンジュー(アルジーヌ)、もしくは愛人のアニェス・ソレルが関係しているともいわれています。<クローバーのジャック >

モデルとなったのはアーサー王物語等に登場する伝説の人物で、円卓の騎士ランスロットです。

ハートのキング

モデルとなったのは5世紀から9世紀にかけて西ヨーロッパを支配したフランク王国の国王カール大帝(742-814年)です。

ハートのクイーン

モデルとなったのは旧約聖書外典の1つであるユディト記に登場するユダヤ人女性ユディトです。

ハートのジャック 

モデルとなったのはフランスの国民的英雄ジャンヌ・ダルクの戦友であり、フランス・ガスコーニュ地方出身の武人ラ・イルです。

ダイヤのキング

モデルとなったのは独裁者としてローマを支配した古代ローマの政治家・軍人カエサル(紀元前100年-紀元前44年)です。

ダイヤのクイーン

モデルとなったのは旧約聖書の創世記に登場する女性ラケルです。

ダイヤのジャック 

モデルとなったのはトロイア王プリアモスの長子でありホメーロスのギリシア神話イーリアスに登場するトロイアの英雄ヘクトルです。

 

トランプのそれぞれのマークについて

 にはスペード、ハート、ダイヤ、クラブの4種類のマークがあります。このマークはスート、スーツと呼ばれています。この4種類は季節の春夏秋冬を表しているともいわれ、春がクラブ、ダイヤが夏、ハートが秋、スペードが冬となっています。また、この4種類のマークは四季の他にも別の意味があり、ハートが「愛」、ダイヤが「お金」、クローバーが「知識」、スペードが「死」を意味します。

スペード

貴族を意味しています。スペードマークの形は、騎士、貴族、貴族の剣、冬、風の星座(ふたご座・てんびん座・みずがめ座)に由来しています。

ハート

僧侶を表しています。ハートマークの形は、僧侶の教える魂、聖杯、愛、感情、秋、水の星座(かに座・さそり座・うお座)に由来しています。

ダイヤ

商人を表しています。ダイヤマークの形は、商人の貨幣、経済力、夏、地の星座(おうし座・おとめ座・やぎ座)

クラブ

農民を表しています。クラブマークの形は、農民のこん棒、その先に飾ったクローバーの葉、勇気、仕事、努力、春、火の星座(おひつじ座・しし座・いて座)に由来しています。

なぜ52枚で1組なの?

カードの1組の合計枚数はジョーカー を除いて52枚となっていますが、これは1年の52週を意味しています。全ての数字を合計すると364になり、ジョーカー を加えると365となりますので1年365日の日数を表しているということです。もう1枚の余ったジョーカー はうるう年として考えます。ちなみにカードには黒と赤の2種類の色がありますが、これは赤は昼で黒は夜という時間を示しています。

ジョーカーの意味は?

 にはジョーカー という特殊な役割をするカードがあります。ジョーカー とは英語で「おどけ者」を意味 する言葉です。ジョーカー にはモデルとして特定の人物は当てはまるわけではなく、道化師(ピエロ)がモチーフであるといわれています。道化師はもともと古代エジプトの頃から何か芸をして宮廷内の人達を楽しませる役割を担っており、その事からジョーカー はトランプでキング・クイーン・ジャック などと一緒に使用されるようになりました。

まとめ

はどこの家庭にでもあるような気軽な遊び道具ですが、1組のカードにこれだけの歴史と背景があるとは驚きですね。意味 を詳しく知ると愛着も出てきます。手品やゲーム、占いなどいろいろ遊べるので、どんどん使ってみてくださいね!