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最高レベルのハイローラー、カジノが恐れるウェールと呼ばれる人達

こんばんは、ラスベガスのカジノディーラーの片桐ロッキー寛士です。カジノを楽しみにラスベガスに来る人達は、最低でも3、4日は宿泊してカジノをひたすら楽しむのが一般的です。カジノで賭ける金額、そしてその資金は人それぞれですが、その中でもたくさんのバンクロール(カジノ資金)を持ってきて常に大金を賭けるカジノの上客達をハイローラーと呼びます。ハイローラーの定義みたいなものはなく、要はそのカジノで上客、VIPと認識されたプレイヤーはハイローラーということになります。ハイローラーにも大小はありますが、ラスベガスの大型カジノでハイローラーと称されるには、最低でも1,000万円から1億円のバンクロール、そして毎回の賭金は最低でも10万円以上である必要があります。しかし、中にはそれ以上のバンクロールを持ってきて、常識ではあり得ない金額を賭けて遊ぶ最高レベルのハイローラー達がいます。その人達はカジノで『ウェール』(クジラという意味)と呼ばれ恐れられているのです。※ 金額は分かりやすく円($1 = ¥100)で説明しています

カジノ最高レベルの上客ウェールの正体

この世界には約500人のウェールが存在するといわれています。そして、その内の約200人はさらにレベルが上のメガ・ウェールと呼ばれていて、中には世界長者番付に名を馳せている人達もいます。今やその過半数以上はアジア人といわれ、そのほとんどがマカオに集中していますが、もちろんラスベガスにも彼らはやって来ます。

ウェールは最低でも1億円〜5億円をバンクロールとして持ってきます。1回の賭け金は少なくとも50万〜100万円から、多くなると1000万円近く賭けるウェールもいます。さらに上のクラスのメガ・ウェールと呼ばれるプレイヤー達は、バンクロールが10億円以上、毎回フェラーリや小さな一軒家を賭けている、というのがいい例えでしょう。

彼らの勝負の行方が、そのカジノの売上を大きく左右するといっても過言ではありません。以前にラスベガスで伝説と言われるメガ・ウェールが連日連夜勝ち続けた時、そのカジノの売上は大きくマイナスになり、その数週間後に彼がカジノに戻ってきたとニュースになっただけで、そのカジノの株価が大きく下がったことがありました。

ウェールはこのようにとつもない影響力があり、例え勝負に負けてバンクロールが無くなったとしても、カジノ側から億以上の金額を借りることが出来るほどの社会的信用も兼ね備えた人達なのです。

カジノがウェールに対して提供するサービス

カジノ側からしてウェールは最高の上客であると同時に、とても恐ろしい存在であるともいえます。彼らが負けてくれればしてやったりですが、波に乗られ大勝ちされてしまうと大損害どころではすみません。しかし、なによりも怖いのは戻ってこなくなること、つまり、他のカジノに行かれてしまうということです。

彼らほどのレベルになると、どのカジノからも来てください、あのカジノよりも良い条件を出しますよ、と甘いお誘いがかかります。常にどこかでカジノ同士のウェールの争奪戦が繰り広げられているのです。そのためカジノ側は、ウェールが定着して他のカジノに気が移らないように、様々なスペシャルサービスを提供します。

ベストカジノ

専用スイートやヴィラ

このクラスのプレイヤーを呼び込めるカジノには、必ずそのプレイヤー専用の客室というものが用意されています。例え他の人が1億円を積んでもその客室には絶対に泊まることはできない、正にウェール専用の特別な客室なのです。カジノによっては敷地内に巨大なヴィラ(別荘)を備えているところもあり、ウェールの家族や友達が一緒に来てもみんなで同じ空間に泊まれるように配慮がされています。

専用のカジノテーブルに特別なルールとスペシャルリミット

滞在中はウェールが遊ぶ専用のテーブルが必ず予約されていて、他のプレイヤーはそのテーブルでプレイができないようにされています。とあるカジノでは、1人のウェールのために名前入りの特注テーブルをハイリミットに置いていたカジノもあります。もちろんそのテーブルで遊べるのは世界中でもその1人、彼だけです。

ゲームのルールはもちろんハイリミットルールがあたりまえですが、プレイヤーによってはその上にさらに特別なルールが設けられることもあり、賭けられるリミットも特別に更に大きくなります。(ハイリミットについては「大金を賭けるハイローラーの遊び場ハイリミット」をご覧ください)

空はプライベートジェット、陸はロールスロイス

遠くから来るウェールに対してはカジノが所有しているプライベートジェットでの送り迎え、滞在中の移動は専属の運転手が運転するロールスロイスでどこにでも移動できます。(リムジンの場合もあり)

24時間体制の多数の専属スタッフ

客室で料理を作ってくれる専属のシェフ、身の回りの世話やどんなリクエストにもすぐに対応し答えてくれるバトラー、休憩中にはプロのマッサージ師、必要とあればボディーガードまで、カジノ側はウェールが必要とあればどんなスタッフもすぐに用意します。

スペシャルギフトやキャッシュバック

遊んでくれた分に対してのお礼として、世界に数本しかない貴重なワイン、高級時計、ロールスロイスなどの高級車、贅沢な旅行に招待、など他にもさまざまなプレゼントが送られることがあります。キャッシュバックは負けた金額に対していくら、というのが事前に決められており、その割合はカジノによっても異なります。どのカジノも他のカジノよりその割合を大きくしてウェールに来てもらおうと試みるのです。

さいごに

このようにカジノはウェールに対して特別なサービスをたくさん提供しています。いってしまえば、カジノに来て遊んでもらえるのならどんなことでも叶えようとするのです。しかし、これはウェール1人で一般プレイヤー数千人分のお金を一気に落としてくれる可能性があるために、ビジネス面から考えれば当然ともいえるでしょう。それだけこのウェールと呼ばれる人達のスケールは大きいのです。

もし日本にカジノが出来た時、このウェールを世界中からどれだけ引っ張って定着させるかで命運が大きく別れることになるでしょう。世界に誇れる日本のサービスでこのウェール達がまた行きたいと思ってくれるような場作りがとても大事になってくるはずです。