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カジノディーラーの給料について

こんにちは、ラスベガスでカジノディーラーをしている片桐ロッキー寛士です。やはりみんな気になるのでしょうね… 仕事中でもプライベートでもよく聞かれるのが給料のことです。そんな話になると決まって「お客さんが負ければ負けるだけ給料が多くなるの?」とか、逆に「お客さんが勝ったら給料減っちゃうの?」なんてことを言われます。きっとたくさんの人が疑問に思う部分であると思うので、今回は給料の事についてふれてみたいと思います。

カジノディーラーの給料システム

ラスベガスのカジノディーラーの給与システムは少し変わっていて、時給 + チップ = 給料という形になっています。時給は当然のこと働いた分だけ頂くものですが、チップはお客さんからの気持ち、そして心付けで頂くものです。

カジノディーラーの時給

では、カジノ側がカジノディーラーに対して支払う時給ですが、これはネバダ州が定めた最低賃金の$8.25です。$1=100円だとしたら時給825円、1日8時間働いても6600円、フルタイム(正社員)で週5日働いて1ヶ月の給料は13万円とちょっとにしかなりません。パートタイム(非正社員)は週平均3日しか働かないので、もはや生活できないレベルの給料になってしまいます。

カジノディーラーのチップ

ではチップはどうでしょうか?これは働いているカジノによりけりです。私が最初に働いていたカジノはカリフォルニア州との境界線にある小さなカジノでした。レートの低いテーブルしかなかったのでチップも低い方でしたが、それでも1日平均で$40位は貰っていたと思います。このチップ + 時給(当時$7.15)× 8時間が当時の給料でした。

チップの貰い方

カジノディーラーとしてチップを頂くには、勝ち負けに関係なく(お客さんが勝つに越したことはないです)まずお客さんに何よりも楽しんでもらう必要があります。お客さんと色んな話をしながら、時にはアドバイスしてみたり、流れに乗ったと思えばベットを吊り上げるように促したりと、そのお客さんに合わせて最高の時間とサービスを提供できるように努めます。 チップを頂く方法、1つは当たり前に直接もらうパターン、もう1つはお客さんのベットと一緒に賭けてもらうパターンです。この場合はゲームの最中に大きく勝ったり、連勝したり、こっちのアドバイスで運が向いてきた時などに、お客さんのベットとチップも一緒に賭けてもらいます。 一緒に賭けてもらったチップは、お客さんが勝てばカジノから配当が支払われ、元のチップと勝ち分の配当を一緒にもらえることができます。しかし、お客さんが負けてしまった場合はお客さんのベットはもちろん、せっかく賭けていただいたチップまでカジノに没収されてしまうのです。 初めの方に、「お客さんが負ければ負けるだけ給料が多くなるの?」とよく質問をされると書きましたが、実際は全くの逆で「お客さんが負ければ負けるだけ給料が上がらない」というのが答えとなります。いかにチップをもらえるかがカジノディーラーの給料を大きく左右するのです。

ベストカジノ

お客さんからいただいたチップはどうなるのか?

心付けとしていただいたチップは本人のモノになるはずですが、カジノディーラーの場合はそうはいきません。 チップは全て各テーブルに設置されているトーク・ボックスと呼ばれる箱に入れることが義務付けられています。 トーク・ボックスは全て24時間毎の決まった時間に、トーク・コミティーと呼ばれる係の人達に回収されます。回収されたトーク・ボックスは警備員と数台の監視カメラがある部屋に運ばれ、厳重な監視下の中でその日のチップが数えられます。 24時間単位で集められ数えられたチップの合計は、その日働いたディーラーの総労働時間数で割られ、各ディーラーに平等に分け与えられます。しかし、チップはその日その日でもらえるわけではなく、給料日に時給と一緒にまとめて支払われることになります。そして、まとめられたチップは時給とともに税金の対象となってしまうのです。 本来チップはいただいたらそのままで税金の対象にはならないモノです。他にもチップをもらえる職業はたくさんあり、彼らはその日ごとにチップを現金として手にします。そんな中、カジノディーラーだけはチップからも税金を収めなくてはいけないシステムになっています。

実際に給料はいくらほどか?

ラスベガスのカジノディーラーの給料は働くカジノによりけりです。時給だけだとどのカジノで働いても同じですが、チップによってその給料は大きく変わります。チップの総額はもちろんのこと、それらを分ける人数によっても大きく変わりますし、シーズンによっても多い時と少ない時があります。 そして給料は毎日変わります。チップが良かった日は多くもらえ、悪い日だと少なくなってしまいます。たまに上客が大勝ちしてとてつもない額をチップしてくれた日は1人あたりの給料が1日$1000を超すこともあります。逆に、閑古鳥が泣くほど暇でチップがほとんど集まらない、なんて日もあるのです。 新人のディーラーを雇う小さなカジノだと、正社員として働いても年収は平均で$2万5千くらいにしかなりません。ストリップ大通りにあるメジャーなカジノでも平均$5、6万くらいです。今現在で最もチップを稼ぎ、給料の高いカジノでは年収$10万くらいになります。

さいごに

このように、ラスベガスのカジノディーラーにとってチップがどれだけ大切か理解していただけたかと思います。よく質問される「お客さんが勝ったら給料減っちゃうの?」ですが、これも全くの逆で「勝ってもらわないと困る」、というのが本音です。 残念なことに、カジノに来るお客さんの中にはカジノディーラーを敵だと思い込んでいる人が結構います。しかし、例えそう見えたとしても、心の中では勝ってほしいと思っているんだ、ということを覚えていてもらえると嬉しいです。